渋谷アロープロジェクト

PROJECT

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清掃事務所壁面

TUBE ARROW

ヒロ杉山(エンライトメント)

渋谷区が世界にも類を見ない画期的な試みをスタートした、渋谷アロープロジェクト

災害時の一時避難場所の方角を示す「矢印」をアーティストに制作を依頼し渋谷の街中に設置するという。パブリックアートと一時避難場所への誘導のための標識との、二つの役割を果たす。命を救うアロープロジェクトの発案者、桑原茂一さんよりエンライトメントに光栄にも声がかかった。我々エンライトメントに課せられた課題は、渋谷の街の雑踏の中で、作品が埋もれてしまわない事、存在感を発揮して見る者の心に記憶として残る作品を作る事。そして方向を明確に示す事であった。

「矢印」を作品にするにあたって、はじめはとにかく目立つもの、渋谷の街の中に現れて違和感のあるものを作るうと我々はアイデアを考えていった。そのうち考えだす作品はどんどん矢印から遠くはなれていく事になってしまった。矢印をデフォルメしすぎて方角を見る側に認識させる事ができなければ、このプロジェクトの大きな役割を果たせなくなる。
これはアーティストのコンセプトを全快に押し出したパブリックアートとは、ある意味考え方が違うものであるのではないかと思考の方向転換を行った。[矢印]本来の持つ記号としてのフォルムに立返る事にした。そしてどこまでデフォルメが可能なのか?どのラインを超えてしまうと矢印としての認識を失ってしまうかを探っていった。

渋谷アロープロジェクトの為に描かれたラフ案

最終案

入り組みながらも一定方向へ進むチューブは、災害時に多くの人々が一時避難所へ避難する様子を表現している。CGによる光沢のある質感とマットな質感を組み合わせ街中に設置された時の違和感を作り出す事にした。次にホップな色彩を組み合わせ、防災という一見ネガティブになりがちなイメージから脱却していった。
今後、この「矢印」だけが一人歩きしTシャツやトートバッグ、グッズ等に展開していき街中に大小さまざまな媒体にプリントされたこの作品が出現し、人々の意識に「矢印」が浸透していく事を想定した。そのためにファッション性も重視した。所々半立体のレリーフ状の構造になっているため、近くで見たときと離れて見た時では見え方の違いにより不思議な効果をもたらす。全長12メートル、渋谷区の管理するビルの4階部分に設置されている。遠くから見てもその存在感は圧巻であるし、矢印が示す方角は一目瞭然である。

はじめはこの渋谷の街中に出現した「矢印アート作品」が、何のためのものか?どんな意味かおるのか?解らないかもしれないが、次第にこのプロジェクトが話題になりその「矢印」が示す方角の意味の重大さが、人々に浸透していくてあろう。矢印という記号は、全世界共通で一つの方向を見る側に認識させる働きがあるはずである。日本に来ている外国人の方にもその方角を示す意味は間違いなく共通認識できる。海外で出版される日本の旅行ガイドブック等にアロープロジェクトの記事が掲載されその矢印が示す方向の意味を理解していたら日本に来た外国人旅行客にも災害時に大きな役に立つ。このプロジェクトが渋谷区から始まり東京都23区へ広がり日本全国へ、全世界へと広がっていったらどんなに素晴らしい事か。

「命を救う矢印」素晴らしい。